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煎茶道を学んでわかった「お茶のおいしさ」と所作・リズムの奥深さ

今回は「煎茶道」についてご紹介したいと思います!

私はこれまで玉露や煎茶について、文献を読んだり、自分で何度も淹れて研究したり、 玉露の入れ方を研究したり、大会に出場したりしながら勉強してきました。

茶葉の量、お湯の量、温度、抽出時間などを調整することで、 「おいしい味」と「きれいな水色(すいしょく)」をある程度安定して出すところまでは
できるようになった認識です。

ただ、ある時から、

「個人で勉強できるお茶の入れ方は、そろそろ限界なのでは?」

と思うようになりました。

そこで、まだ自分が学べていないお茶の世界があるのではないかと思い、 煎茶や玉露を扱う「煎茶道」を学び始めました!

茶師
正直、最初は「お作法より味が大事では?」と思っていました。笑
ただ、1年、2年と続けてみると、独学では全く気付かなかったことがかなりありました!

煎茶道を始めた理由

私が煎茶道を始めた一番の理由は、

「お茶について、もっと知らないことがあるのではないか?」

と思ったことです。

これまで玉露については特にかなり研究しており、
温度、茶葉量、湯量、抽出時間などについては自分なりのやり方を持っていました。

こちらの記事でも紹介しておりますが、
条件をしっかり計測することで、おいしい玉露をかなり安定して淹れることができます。

一方で、

・味をどう作るか
・温度をどうするか
・抽出時間をどうするか

ということばかりを考えていると、 「その先に何があるのだろう?」とも感じていました。

煎茶道には、単純なお茶の入れ方だけではなく、

「所作」「身体の使い方」「器」「空間」「時間」

などがあります。

自分一人ではおそらく学ぶことのなかった分野でした。

最初は煎茶道の「お作法」にあまり興味がなかった

煎茶道を始めた当初は、正直なところ、

「決められた動きをその通りにやるもの」

ぐらいに考えていました。

お作法を覚えて、その通りにお茶を入れる。

少し極端に言うと、演技のようなイメージですね。笑

私はもともと味重視です。

お茶がおいしくなるのであればやる。

味にあまり関係がないのであれば、
そこまで重要ではないのではないかと考えていました。

しかし、同じ所作を何度も繰り返していると、
少しずつ考え方が変わってきました。

茶師
最初は完全に「おいしいお茶を出せれば良いのでは?」派でした。笑
ところが所作を身体で覚えてくると、これが意外とお茶の味にも繋がってくるのが面白いです。

煎茶道で気付いた「日本人のリズム」

煎茶道を1年、2年と練習する中で、
私が特に面白いと思ったのが「身体のリズム」です。

煎茶道では姿勢を整えて、身体の軸を意識しながら所作を行います。

着物を着てお茶を運ぶ際も、
単純に手だけを動かせば良いわけではありません。

身体全体でゆっくり動く。

一方で、ある場所では一瞬止まる。

また別の場所では流れるように動く。

私の感覚としては、

円運動と直線運動

「流れる」と「止まる」

という動きが交互に出てくるように感じています。

止まる動きと流れる動き

日本的な身体の動きを考えた時に面白いと思うのが、 「止まっている状態から一気に動く」ような動きです。

居合などにも近いイメージですが、
ゆっくり加速するというより、一瞬静止して、そこからスッと動く。

これはあくまで私が煎茶道を実際に経験して感じている身体感覚ですが、
日本文化の所作にはこうした独特のリズムがあるように思います。

茶師
私はボイスパーカッションもやっているので、煎茶道をしていてもどうしても「これ、リズムとしてどうなっているんだろう?」と考えてしまいます。笑

海外音楽のリズムとは違う身体感覚

私は以前からアカペラやボイスパーカッションを通して、
海外音楽のグルーヴについてもいろいろ考えてきました。

胸や上半身を使ってリズムを感じることなど、
身体でリズムを取るという意味では煎茶道にも共通している部分があります。

一方で、煎茶道では姿勢を崩さず、
身体の軸を保った状態で静かに動きます。

海外音楽を研究して得た身体感覚と、日本文化の所作から得た身体感覚。

この2つが自分の中でつながったのは非常に面白い経験でした。

煎茶道ではストップウォッチを使わなくてもお茶がおいしく入る

もう一つ、煎茶道を始めて非常に驚いたことがあります。

それが「抽出時間」です。

私はそれまで玉露や煎茶を淹れる際、

・茶葉○g
・お湯○ml
・○℃
・○分○秒

というように、かなり数値を意識していました。

場合によってはストップウォッチも使います。

ところが煎茶道では、 所作をしている時間そのものが抽出時間になります。

お湯を入れる。

茶葉を扱う。

器を整える。

次のお道具を扱う。

そうして一連の所作をしていると、
自然にお茶を抽出するための時間が経過しています。

これにはかなり驚きました。

「時間を測る」のではなく、「所作によって時間を作る」

ということです。

茶師
私の中では「時間=ストップウォッチ」でしたので、普通に所作をしているだけでおいしいお茶が出てきた時は結構な衝撃でした。

煎茶道の所作によって味と水色が安定する

さらに練習をしていて分かってきたのが、 所作がお茶の味や水色にも影響してくるということです。

私が教えていただいている方法では、

・お湯を入れるタイミング
・茶葉を入れるタイミング
・急須の扱い
・その後に行う所作

などに一定の流れがあります。

最初は、

「ここまで細かく決める必要があるのかな?」

と思っていました。

ただ、何度も同じ形で淹れていると、
味がかなり均一になってきます。

さらに水色も黄金色に近いきれいな状態で安定してきました。

煎茶道を学んで気付いたポイント


・所作そのものが抽出時間になる
・毎回同じ所作をすることでお茶の味を再現しやすくなる
・水色も安定してきれいに出やすい
・単純な「見た目の美しさ」だけではない

お作法というのは単に美しく見せるだけではなく、

「おいしいお茶を安定して再現する仕組み」

でもあるのではないかと感じています。

煎茶道を通して「おいしいとは何か?」を考えるようになった

煎茶道を経験して、私の中で最も大きく変わったのは、

「そもそも、おいしいとは何なのか?」

という考え方です。

以前の私は、お茶のおいしさをかなり味覚中心に考えていました。

茶葉。

水。

温度。

抽出時間。

ここを最適化すれば、おいしいお茶になる。

もちろん今でも、これらは非常に重要だと思います。

ただ実際に着物を着て、
静かな場所で点前を行い、
時間をゆっくり使ってお茶を飲んでみると、

同じお茶でも感じ方が違う。

味以外の情報も「おいしさ」に影響する

実際に煎茶道をしていると、

・美しく整えられた空間
・茶器
・着物
・自然
・静かな音
・お茶を運ぶ人の動き
・お茶が口に入るまでの時間

など、さまざまな情報があります。

それらを全部含めて、人間は「おいしい」と感じているのではないか。

そんな疑問が自分の中で出てきました。

味覚だけがおいしさではない。

視覚や空間、その日の体調、時間の流れなども含めて、
一杯のお茶をおいしいと感じる。

これは煎茶道をやっていなければ、
自分の中ではなかなか生まれなかった考え方です。

茶師
お茶を突き詰めていった結果、「味」だけではなく「人間は何をもっておいしいと感じるのか?」という疑問が増えました。むしろ分からないことが増えた感じです。笑

着物を着て煎茶道をすると「時間を贅沢に使う」感覚がある

煎茶道では着物を着て、
静かで落ち着いた場所で点前をする機会もあります。

私も資格のお免状取得に向けて稽古をする中で、
実際にそうした環境でお茶を淹れました。

静かな空間。

ゆっくりとした所作。

自然を感じられる場所。

そこで丁寧にお茶を淹れて飲んでいると、
非常に不思議な高揚感があります。

「時間を贅沢に使っている」

という感覚です。

お茶自体は、普通に淹れれば数分で飲むことができます。

そこをあえて時間をかける。

効率という意味では完全に逆です。笑

しかし、この「効率が悪い時間」にこそ、
嗜好品としてのお茶の面白さがあるのかもしれません。

煎茶道の経験はボイスパーカッションにも活きる

これは完全に私独自の話になりますが、 煎茶道で学んだ身体の感覚はボイスパーカッションにも活きています。

例えば、お茶を運ぶ時。

素早くお茶を取りに行って、
素早く運ぶということはしません。

姿勢を整えて、

ゆっくり取りに行く。

ゆっくり運ぶ。

ゆっくり置く。

ゆっくりお辞儀をする。

しかし「ゆっくり=止まっている」ではありません。

非常に遅いBPMの中でも、
ずっと動きが続いている感覚があります。

「遅いけれど途切れない」というグルーヴ

音楽でも、ずっと盛り上がっているわけではありません。

音数が少なくなる場面。

まったりする場面。

少し空間を作る場面。

こういう時に、

「遅いけれど、グルーヴは切らない」

という感覚が重要になります。

煎茶道のお茶を運ぶ所作で感じた身体感覚を使うと、
こうした遅いテンポのボイスパーカッションにも応用できる感覚があります。

お茶とアカペラ。

全く関係なさそうですが、
自分の中では意外なところでつながってきました。笑

煎茶道では独学では思いつかないお茶の飲み方にも出会える

煎茶道をやって面白いと感じることの一つに、 自分では考えつかなかったお茶の飲み方を経験できることがあります。

例えば私が習っている中では、
最後に淹れたお茶を氷がたくさん入った器に注ぎ、
冷たくして飲む方法を経験しました。

普通のカフェではなかなか出会わない飲み方ではないでしょうか。

その他にも、

・お茶と別の嗜好品を組み合わせる
・季節を感じる素材を使う
・いつもとは全く違う温度でお茶を楽しむ

など、さまざまな楽しみ方があります。

※点前やお茶の出し方については、流派や先生によって異なります。

自分一人でお茶を研究していると、

「どうしたらもっとおいしくなるか?」

という方向にどうしても集中してしまいます。

煎茶道では、

「どうしたらお茶の時間そのものを楽しめるか?」

という方向まで世界が広がったように感じています。

「味重視」と「煎茶道」を飲み比べられるカフェをいつかやってみたい

煎茶道を経験して、
個人的にいつかやってみたいと思っていることがあります。

それが、

「味を最大限重視して淹れたお茶」

と、

「煎茶道のお作法を行って淹れたお茶」

を飲み比べられるカフェです。笑

例えば同じ茶葉を使って、

一方は茶葉量、湯温、抽出時間などを徹底的に調整。

もう一方は煎茶道の点前で、
器や空間、所作まで含めて提供する。

実際に飲み比べて、

「人はどちらをおいしいと感じるのか?」

を体験できると面白いのではないかと思っています。

もちろん煎茶道のお作法で一杯ずつ提供すると、
非常に時間がかかります。

提供できるお客さんの数もかなり減ってしまいます。笑

ただ、

「お茶を飲むためだけに時間を使うマニアックなカフェ」

というのも、それはそれで面白いのではないでしょうか。

茶師
普通のカフェとしての回転率はとんでもなく悪そうですが(笑)、煎茶道のお作法でずっとお茶を出している店があったら個人的にはかなり行ってみたいです。

煎茶道を学んで分かったことまとめ

今回は、私が実際に煎茶道を学んでみて感じたことをご紹介しました。

始める前の私は、

「おいしいお茶=味を正確に作ること」

と考えていました。

しかし実際に煎茶道を経験すると、
それだけではないことが分かってきました。

煎茶道を学んで感じたこと


・所作を行う時間そのものが抽出時間になる
・同じ所作を繰り返すことで味や水色が安定する
・日本文化の身体の使い方やリズムを体感できる
・味だけではなく器や空間、時間も「おいしさ」に影響する
・独学では思いつかないお茶の楽しみ方を知ることができる
・ボイスパーカッションなど音楽にも応用できる身体感覚がある

お茶についてはかなり勉強してきたつもりでしたが、

「まだ知らないことがこんなにあるのか」

と改めて感じました。

分かることが増えたというより、
むしろ「おいしいとは何なのか?」という疑問が増えたようにも思います。笑

しかし、そこがお茶の面白いところなのかもしれません。

煎茶や玉露が好きな方はもちろん、
日本文化、器、料理、お酒など嗜好品が好きな方にも、
煎茶道は非常に面白い世界だと思います!

興味があり、

「煎茶道を一度やってみたい!」

という方がいらっしゃいましたら、
私からつなぐことができる場合もありますのでお気軽にご連絡ください。

最後に関連記事をご紹介しておきます。

(ご参考)お茶・玉露の記事

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