玉露の作り手として非常に有名な前島東平さん。
2022年9月、2024年2月の2回訪問させてもらっております!
過去の記事でもWEBの情報を元にご紹介させていただいた、最高級の玉露を作られる玉露名人の方です。
東平さんの手揉みで作られる玉露は最高級の味わいで非常においしく、
こちらの記事でレビューもさせていただいております。
訪問場所は静岡県の玉露の里辺りの朝比奈地域になります。
新幹線で静岡駅に到着し、電車とバスを巧みに乗り換え…メチャ遠いです。笑
今回の訪問理由も含めてご紹介し、有名な玉露の作り手の生の声を皆さんに
お届けできればと思います!
有名な玉露の作り手の東平さん、訪問の理由
数々の玉露を飲んでいる私ですが、玉露の中でも指折りの作り手の方の玉露は
一味も二味も美味しさが違います。
ちゃんと淹れて飲むと感動してしまうレベルのお茶って一体どういうことなのか?
どれほどの熱意・手間暇があってできているものなのか?
どんな方が作り上げているのか? などなど
最高級で最高においしい玉露の理屈がまったく分からず是非とも知りたいという知識欲からでした。
ずっと話を聞いてみたいと思っていたのですが、訪問できる時間と機会があり、
弾丸でお会いしてきた形です。
最高級のおいしい玉露っていったい何なのか?
私の一番の疑問であった「最高級の本当においしい玉露」っていったいどうなっているのか?について
真っ先に質問させていただきました。
ご教示いただいた順に記載していきます。
「茶園」は「農家」である
まず、最初に教えていただきましたのは「茶園」は「農家」であること。
私は「農家」としての仕事をしたことが無いため「農家」に対しての想像力が薄い状態でしたが、
まずは「農家」の仕事をキッチリすることが大切である、と伺いました。
第一に「土」について、ヨーロッパに玉露を輸出できるレベルの残留農薬基準をクリアされており、
その実現のための原則を紹介していただきました。
ブドウを使うワインやコニャックなどでテロワールの違いの話は耳にしますが、
玉露も「土壌」が第一に重要であることを認識させていただきました。
自然との闘いなので、やはりここが難しいとのお話もあり、
超ベテランの作り手ですら日々苦労されていることを想うと、
玉露を手頃な価格で飲めていることに感謝の気持ちが込みあがってきましたね。
玉露の手摘み
次に伺ったポイントとしては「玉露の手摘み」についてです。
玉露は機械摘みより手摘みであること、摘むときは「しごくように」との話を伺いました。
昔は「玉露の摘み手(摘み子)」さん達も多く朝比奈にもいらっしゃったそうですが、
近年は少なくなっており、ここも難しいポイントであることを伺いました。
やはりベテランの摘み手がいてこそ成り立つ玉露であるので、
どんどん少なくなっている現状は非常に気になるところです。
最高級の玉露を作る考え方
最高級の玉露を作るための東平さんの考え方を伺いました。
前の章で伺った通り「農業」の基本を押さえてお茶を作ることは大前提。
その上で「トップクラスになる」には「努力」と「素質」というキーワードを仰られていました。
土壌を強くし、「コモ」を自分で作り、毎日の茶園の手入れをし、捻転・火入れを行う一連のお茶つくりで、「揉みの感覚」「香り」「味」は同じやり方でも、人によって変わってくる、とのこと。
そこに「素質」が関与してくるとのことです。
私自身、茶を摘んでホットプレートでお茶を自作したことはありますが、
狙ったイメージのお茶を作り上げるのは、大変難しいのはよくわかります。
ポイントとしては「地域や土壌」の理解の上で「香り・味」を狙っていくのかなと理解しました。
八女の玉露は旨みが強い、静岡は比較的爽やかな味わいと言われますので、
最高級の玉露を作るポイントとしては以下と言えると思います。
ポイント
・「農家」として茶の土壌をどういう方向性で育てるか:ヨーロッパの残農薬基準をクリア
・香気が立つ玉露にすること
・心が豊かになる旨み
香気や、味わいの旨みを如何に実現するかが、実際に一緒に作らないと分からない部分が多そうです。笑
カクテルでいうとベーススピリッツを何にするかで方向性が変わるように、この土だと結果がこうなるという理解が必要そうです。
一般の人が理解するには、同じ地方のお茶を飲み比べると見えてくると思いました。
最高級の玉露の世の中の認知
ヨーロッパのイベントで玉露を入れたことのある東平さんに、玉露の世の中の認知について伺ってみました。
私個人としては、日本人ですら玉露の美味しさに気付いている人は少ない印象です。
東平さんがおっしゃるには、
・普通の人が玉露を知らない点については、もっと広まっていても良いのかなと思う
・玉露の値段の良しあしについて普通は分からない、割に合わなく安くなってしまうため、玉露茶園が減っている
とのことでした。
また、過去は「良いものを作ること」に注力していたが、様々な出会いから、
それだけではダメで「人に喜んでもらえること」まで意識して取り組まないといけないという
考え方の転換もあったそうです。
ブログ活動は、そうした「良いもの」を広く伝えていく媒体として
私自身も頑張っていきたいと強く感じました。
音楽でも日々の仕事でも、顧客に喜んでもらえる仕事をつねに意識していきたいものです。
最高級の玉露のおいしい入れ方
私のブログでも玉露の淹れ方をいくつか紹介させてもらっておりますが、
玉露の匠である東平さんに美味しい入れ方について伺いました。
しっかり計測して入れる、手で感じる温度や茶葉の状態を見て入れる物理的な入れ方
のどちらが良いですか?という質問に対しては、
特に答えはないが、徳川の時代でも45~50℃で玉露を入れていたとのことで温度はそれぐらいが良さそうであること。
また、「香気が立つ良いものが美味しいと思う」とのことなので香りが立つ入れ方に注意することが
よりおいしい玉露の入れ方に繋がって来ると理解できました。
以下に私の「しっかり計測してい入れる」淹れ方と、「物理的な入れ方」を2つ紹介しておきます。
更なる研鑽に励みたいと思います。
(ご参考)玉露の入れ方
最高級の玉露の味
最高級の玉露を作られる東平さんに、玉露の味について伺いました。
品評会の玉露など、非常に高価な値段がついているものが美味しいのですか?など
さまざまな質問をさせていただき、味については、以下のようなポイントがありました。
ポイント
・嗜好品なので全員から100点を取れない、半分くらいの人がおいしいと言ってくれたら上出来
・八女の玉露が勢いがあり、旨みが強い。静岡の玉露は2煎目、3煎目まで美味しい。
・品評会は形状が針のようにキレイなものが評価される。味はその後の評価なので、味とは密接に関係がない。
品評会やコンテスト系では、視覚的な美しさを重視されるため、
味を重視する考え方とは分けた方が良さそうですね。
一方で確かに、小さい茶葉も提供してしまいますので、出し切っても美しいが狙いになりそうです
まとめ
今回は、玉露の匠である前島東平さんに直接伺い、最高級の玉露に対する疑問を回答していただきました。
玉露に対する考え方の根底の話を伺いますと、他の仕事でも通ずる、
「プロフェッショナルになるための考え方」をご教示いただけたように思います。
プロ中のプロにお話しを聞くと、自分の中の気づきが増え、大変ありがたい機会となりました。
最後に東平さん関係のリンクをまとめます。
最近、漫画にも登場されたようですw
■東平さん出演 マンガ
■東平さんの茶